借主側から見たトラブル実例

こちらのページでは、「借主側から見たトラブル実例」に関する実例の一部を紹介しております。

■ 臭気が強くて住めない部屋  (借家契約の紛争についてはコチラから)

Aさんはサラリーマンです。 実家のある静岡市のX会社静岡支店に勤務していましたが3月中頃東京本社に転勤の内示を受けました。 早速借家探しを始め、大手のH不動産の仲介で東京に近い千葉県N市所在の木造アパートを見に行きました。 建物は築年数3年位のもので家賃も安かったので、そこに決めようと思ったのですが、室内に糞尿の臭いがこもっていました。 案内したH不動産の営業マンは「これは暫く使っていない部屋で、配水管が詰まっているから臭うので、 窓を開けて風を通せば臭いは消える」と説明しました。 Aさんはその説明を信用して建物所有者Bさんと賃貸借契約をしました。

そして3月下旬に荷物を運び込み、Aさんの奥さんと中学生の子が先に入居しました。 直ぐに臭いを抜く為に配水管に大量の水を注ぎましたが臭気は消えませんでした。 外気はまだ冷たかったのですが、窓を少し開け、ストーブをつけ扇風機を外に向けて換気をしましたが、それでも臭気は消えませんでした。 天候により、また時間により臭気は強くなったり弱くなったりしました。 AさんはH不動産に抗議したところ、出入りの排水設備の業者が現場を見に来ました。 原因は屋外に設置してある浄化槽からの臭が逆流しているのではないかということで、 床板を剥がして配水管の状況を調べないとはっきりしないと言われました。 Aさんの部屋の壁ひとつ向こう側が隣家のトイレになっていて、隣家でトイレを使うたびに臭ってくることも分かりました。 Aさんは臭気が排水設備の欠陥によるもので、居住できない部屋であることを理由に契約を解除して他の貸家を見つけて移りました。

そして家主のBさんを被告にして、敷金・権利金・H不動産に支払った仲介料・他の建物へ移った際の引越代・慰謝料など合計90万円を裁判で請求しました。 Bさんは臭気があることは認めましたが、微かな臭いであるから生活には支障がない筈だと言い張りました。 臭ったり消えたりする臭気。 その強さを数量的に測定する方法がないこと。隣家でトイレを使うたびに臭ってくるのではないかと云う不安など複雑な問題があります。 裁判官の和解勧告で、Bさんが示談金50万円を支払うことで和解しました。

■ 殺人があった部屋を知らないで借りた  (借家契約の紛争についてはコチラから)

Aさんはサラリーマンで婚約者がいたので貸家を探していました。 Bさんは千葉市若葉区内に分譲マンションの一部屋を所有し、X不動産の仲介でC子に賃貸していました。 C子はクラブのホステスで、入居後暫くしてD男と知り合い、その部屋で同棲生活を始めました。 D男はヤクザで定職がなくC子のヒモでした。 入居後3年位してD男の姿が見えなくなり、間もなくC子がX不動産を訪れ賃貸借の解除を申し出て、賃料などの清算をして立ち退きました。

X不動産は直ぐに賃貸の広告を出し、Aさんはこれを見てX不動産の仲介で、その部屋を賃借しました。 入居後1年位してAさんは突然千葉県警察捜査一課から室内の実況見分をさせてほしいという要請を受けました。 警察の説明は次のとおりでした。  「C子はD男から毎日金を無心され、渡さないと暴力を受けていたのでD男と手を切ろうとしたが、D男が承知しないので殺すしかないと思うようになった。 1人では無理なので同僚のホステスE子に相談したら、E子はC子に同情して2人でD男を殺すことを共謀した。 ある晩C子とE子は、酒を飲んで寝ているD男の首にネクタイを巻きつけ、2人で両端を引っ張って絞殺した。 C子の実家は農家で、近くに所有している山林があったので、2人はD男の死体をC子の車に乗せて山林まで運び、そこに穴を掘って埋めた。 E子はその後毎晩D男の夢を見て耐えられなくて警察に自首し、事件が発覚して2人を逮捕した」 Aさんは、それを聞いてびっくりし、奥さんは身重になっていたので実家へ帰ってしまいました。 Aさんは殺人のあった部屋には住めないので、ほかに借家して引っ越しました。 そして敷金・権利金・X不動産に支払った仲介手数料・新たに賃借するについて支払った仲介手数料・引越し代金などをBさんとX不動産に請求しました。

BさんとX不動産は、そんな事件があったことは知らないで貸したのだから責任はないと言って、Aさんの請求の一部の支払を拒みました。 誰もが嫌がる歴史が付着した建物は、物理的な傷がなくても傷がある建物となります。 不動産競売の場でも建物の価値は3割から4割減価して評価されます。 その後の交渉で、BさんとX不動はAさんの請求を全部認めて和解しました。 関係者全員にとって、とんでもない災難でした。

■ 賃借人はどんな場合でも契約解除の予告をしなければならないのか  (借家契約の紛争)

EさんはY不動産の仲介でFさん所有の新築のアパートを借りました。 入居して暫く経って、部屋の中が酷く湿っぽいことに気がつきました。 押し入れの中が一番酷くて壁に滴が流れるようになり除湿の器具を使っても効果がなく、 畳は湿り、壁は全面に黴が生えて室内は黴臭くて居られませんでした。  家主のFさんに連絡しても、Y不動産に管理を任せてあるから、そっちへ話してくれと言うだけで取り合ってくれませんでした。

この賃貸借契約では、借主の都合による解除の場合は2か月前に解約の申し入れをすることになっており、 敷金として賃料の2か月分が差し入れてありました。 Eさんは部屋を住める状態に修理してもらえる見込みがないのでY不動産へ鍵を返して転居しました。 そしてFさんに敷金の返還を求めました。 Fさんは2ヶ月前の予告なしに勝手に立ち退いたのだから2ヶ月分の賃料を敷金から差引くので返還する敷金はないと言いました。 Eさんは2ヶ月前の解約予告義務は専ら借主の都合で解約する場合のことで、 建物の構造上の欠陥で住めなくて立ち退いたのだから、その契約上の義務はないと言いました。 しかしFさんは「同じアパートに住んでいる他の賃借人からは苦情は出ていない。 室内が湿ったのはEさんが室内の換気に気をつけないからだ」と言って敷金の返還を拒否しました。 それでEさんはFさんを相手方として裁判所へ敷金返還請求の調停申立てをしました。

調停手続きの中で、そのアパートが田んぼを埋め立てた土地の上に建てた違法建築の建物で、 湿気が多いのは建物の構造上の欠陥というよりも、そこに建物を建てること自体が間違っていたこと、 それと他の居住者も同じ事情で居られないので出ようとしていることがわかりました。 解約予告の特約があっても、それが適用されないケースもあります。 Eさんは敷金全額を取り戻しました。

お問い合わせ